幻影都市、アーロモートへと侵入する私たち。
明らかになる私とアルバートの関係、そしてアシエンの真の目的とは…
ある世界の終末
エメトセルクの魔法によって再現された巨大な幻影都市。
「眺めてると圧倒されちゃいそうだから、とにかく近づいてみない?」と言うアリゼーの言葉に従い、岩場を伝って南東に見える大きな塔へと乗り込む。
塔へと侵入した私たちはある扉の前で立ち止まる。その大きな扉を見上げ「体が小さくなった気がするよ」とアルフィノは感想を漏らした。
直後…
「クロロ様を認証…
ようこそ、星の中心「アーモロート」官庁街へ。
エレベーターを、ご利用になられますか?」
扉から響く声…どうやら歓迎?されているようだ…。
この地を訪ねろと言ったのはエメトセルク自身、同伴する者はともかくとして、私の事は迎える意思があるのでは?とウリエンジェは話す。
悩んでいても仕方がない…エレベーターに乗り地階へと向かう。
美しい町並みが広がる「アーモロート」だが…そのすべてが大きい。街を見上げ見渡しているとサンクレッドが声を上げた。
「おい、あれを見ろ…!」
人…だろうか?それにしてはかなり大きい。
こちらを警戒している様子はないため、「話を聞かせてもらえるかもしれない」と歩み寄るアルフィノ。
「やあ、少し尋ねてもいいかな?
この場所と……それから、君について」
『おや、こんにちは。
これはまた、可愛い子どもたちだね…官庁街の見学かな?』
巨人の言葉は聞き取れないが、話している内容は理解できる…その状況にリーンは戸惑うが、「ひとまずは、「言葉が通じている」とだけ考えましょう」とヤ・シュトラ。
この場所はアーロモートの中でも「星」の運営に大事な機能が集まっている場所だと巨人は教えてくれた。
「エメトセルクを探している」
そう言葉にした私に、巨人は『ああ、なるほど…』と答えた。
『さては君たち、彼ら「十四人委員会」に会ってみたくて、
この地区に来たんだね。
フフ…無理もない。
今や世界は、「終末」なんて呼ばれる災厄と、
その対策を進める十四人委員会の話で持ち切りだもの』
そんな時だからこそ彼らに会うのは難しい、家族に心配をかける前に家に帰った方がいいと彼は言葉にし、『見送りは必要かな?』との問いに否を返すと『気をつけて帰るんだよ』と私たちの前から消えていった。
ヤ・シュトラによれば彼は魔法生物のように感じられ、この街並みと同様にエメトセルクによって創られた存在だと語る。
また彼の話から、この街は以前エメトセルクが語った星の未曾有の危機、「終末と呼ばれし災厄」を迎える前…古代人が生きていた「ある日」だとウリエンジェは推測した。
幸い生み出された古代人とは意思疎通ができ、敵対する様子もないことから、エメトセルクの居場所について手分けして探ってみることにした。
エメトセルクについての手掛かりは得られなかったが、彼らを知る上で重要であろういくつかの話を聞くことが出来た。
「十四人委員会」は人類のまとめ役で、この星を運営するにあたって必要な決定を行う、知恵と力を持ち合わせた、秩序の守護者。議長ラハブレア、調停者エリディブスをはじめ、アログリフ、ミトロン、エメトセルクなど14の「座」があって、それぞれ選ばれた賢人が就任する。
その「十四人委員会」は、迫りくる災厄を鎮めるための対策として「星の意志」を創るという計画を立てているらしい。星全体を統べる究極の存在を創りだして、秩序を再編する…。「創造魔法」を得意としている古代人でもその規模の創造は困難を極めるようだ。また、災厄を巡って「十四人委員会」のひとりが離脱するという噂が立っているようだ。
その者の結末
戻ってきたみんなも私と同様の話を聞いたらしい。
古代人の操る創造魔法、すでに海の向こうでは始まっている災厄、それに対抗するエメトセルクや十四人委員会…。
創造魔法について、ヤ・シュトラとウリエンジェはアシエンが伝えてきた「神降ろし」に似ていると話す。膨大な魔力を有している古代人は、己の魔力だけでそれらを扱えた…。それを分かたれた世界の人間が使えば、自身の魔力では足りず、環境エーテルやクリスタルから魔力を吸い取る…結果としてエーテルを枯渇させる破滅の術になった。
興味深い話ではあるが、エメトセルクの居場所には結び付きそうもない。
「誰か、あいつの足取りについての情報は聞けた?」
アリゼーの問いにサンクレッドが答える。
十四人委員会は近くにある「カピトル議事堂」という場所に詰めているらしい。その話を聞いて議事堂に向かってみたが許可証が必要らしく、続けて許可証を発行してくれる「人民管理局」へ向かうと、今度は住民登録がないから発行できないと断られてしまったらしい。
一旦戻ってきたサンクレッドだが、エレベーターの時のように私なら許可証を発行してもらえる可能性があるかもしれないと話す。
そこで再びみんなと別れ、私は「人民管理局」へ、サンクレッドとウリエンジェは強行突入できる見込みがないか探り、リーンとアリゼーは私の体を治す術がないか古代人に聞いて回る。アルフィノとヤ・シュトラは少し遠くまで足を延ばして引き続き情報収集をすることになった。
人民管理局へ向かうと、サンクレッドの読み通り、私の住民登録はエメトセルクによって完了していた。許可証発行に必要な書類を受け取り、今度は「人民事務局」で書類を提出する。
『 順番に手続きいたします』ということで、空いている席に座り待っていると…
『…隣、いいかな』
そう言って、ひとりの古代人が隣の席に座った。
少し間を開けて…彼は話しかけてきた。
『キミは、外の時間を生きている子だね。
さては、エメトセルクを追ってきたのかな?』
その言葉に驚きを隠せない…。
彼は自身をヒュトロダエウスだと認識し、この街が”ある時間を写し取っただけ”の幻影都市だということも認識している。
『大方、エメトセルクがワタシを再現するときに、雑念でも混じったのではないかな。「ヒュトロダエウスだったら、真実を見抜くだろう」とかね』と言葉にし、エメトセルクとは仲の良い友人だったと語る。そして、『待っている間、ご一緒させておくれ』と話し始めた。
『…ここまで来ているキミなら、知っているかな。
ワタシたちは、「今日」のあと、大きな災厄に見舞われるんだ
最初、局地的にはじまったその災厄は、
やがて星全体におよび、正真正銘の終末と化した
十四人委員会……まあそのときには十三人になってたんだけど、
ともかく彼らは、「星の意志」を創ることで綻びた理を直し、
災厄を鎮めようとしたんだ』
それほどの創造にはとても大きな力が必要だった…だから、生き残った人類のうち、約半数が自らの命を力として差し出したのだという。
そうやって生み出されたゾディアークによって、望みどおり災厄は退けられた。
しかし、すでに星からは多くの種が失われ、大地は死に、水は濁り、風さえ淀んでいた。そこで、さらに半数がゾディアークに命を捧げ、星を清め、木々や小さな命を芽吹かせた…。
再び命が巡りだしたとき…人類はいかにしてこの星を護り続けるか再考した。
『十四人委員会の出した結論は、こうだ。
世界を育み、それが再び十分に満ち足りたときに、
いくらかの生命をゾディアークに捧げる…。
それによって、
ゾディアークの中に力として取り込まれた同胞たちを、
地上に復活させ…皆でまた、世界を管理する』
だが、それを良しとせず…ゾディアークに命を捧げるのをやめ、新しい世界を、生まれ来る命たちに任せるべきだという人々が現れた。
そして、自分たちの命から、対のもの、ハイデリンを創り出し…人類ははじめて2つに分かれて戦い…その結果は…。
『エメトセルクたちは、
まだゾディアークの名のもとに動いているようだね』
『当初の計画よりも、だいぶ回り道になっているけれど…
きっとまだ、諦めていないんだ。
あれに何かしらの命を捧げ、同胞を取り戻すことを
というか…根が真面目な彼のことだ、
厭だ厭だと言いながら、背負ったものを、
誰にも託せなくなっているんだろう
…残酷な役回りだよ、本当にね』
ここで私の順番になりヒュトロダエウスは話を止め、『いっておいで』と促す。
『…ああそうだ、最後にもうひとつだけ。
キミのそばには…多分もうひとり、いるだろう?』
その言葉に驚き振り返る。
『いや、姿形は見えていないんだけれどね』と話すヒュトロダエウスだが、薄っすらだがもうひとつの魂が視えると、そして私だけはアルバートに干渉できるんじゃないか?と言った。
『フフ…それは偶然じゃないよ。
キミとその子の魂は、同じ色をしている。
ワタシたちの時代において、ひとつだったのさ』
『そんな不思議な色の魂は…
うん、いくつに分かたれていても、間違えようがない。
まったく、実に「あの人」らしい運命だ。
エメトセルクも、彼には思い入れがあるだろうから、
キミがそうだと、気づいているかもしれないね』
『では、良い結末を。
懐かしく、新しいキミ…』
その言葉を最後にヒュトロダエウスは姿を消した…。
許可証を手に入れ、集合場所の議事堂前へと向かうと全員が揃っていた。
サンクレッドとウリエンジェによると、強行突入の見込みは薄かったらしく許可証を手に入れてきたことに喜びの表情を見せる。
対照的にリーンとアリゼーは収穫を得られなかったことで意気消沈している。話を聞く分には問題ないが、こちらから質問を投げかけると途端に会話がおかしくなってしまうらしい。
やはり先ほど話していたヒュトロダエウスは特別だったようだ…。そんな彼から聞いた話をみんなにも伝える。
新たに育った生命をゾディアークに捧げ、召喚に携わった古代人を蘇らせる。世界統合を推し進めるのは、ゾディアークを再び「星の意志」とする為ではなく、「統合された原初世界の命」を生贄として利用するため…。
「そんなことは…到底、受け入れられない」と言葉にするアルフィノ。水晶公の力もそんなことに利用させるわけにはいかないとアリゼーが続く。
「でしょ、クロロ。
だから私たちは、必ずエメトセルクのもとへ辿りついて、
世界の明日を勝ち取るの。
そしたら、あなたの手で掲げて見せてよ。
過去の人たちに…未来の誰かに、
出会ったすべての人に、届くように」
アリゼーとは対照的にリーンは不安そうにしている。
「多くの力を振るうことになったら…今度こそ…その体は…」と私を気遣う。ただ、続く言葉はなく、「進むかどうか、決断を下すのは、あなた自身の意志よ。そして、私たちそれぞれの意志でもある…」とヤ・シュトラがこの話を終わらせた。
エメトセルクの願い
議事堂に突入する前に一人ひとりと少しの会話を交わす。
アルフィノ
ドン・ヴァウスリーは言っていたね…自分を倒しても、その先にあるのは、生きるための、永劫終わりなき戦いのみだと。
彼が、今の第一世界や、君の状態をみたら、それ見たことかと嘲笑うかもしれない。
…だが、君が続けてきた旅は、確かに人の心に火をつけた。
かつての私が、理想と理屈で束ねそこねた人の心を、その旅路で、ひとつにつなげて見せたんだ。そうでなければ、あのタロースは立ち上がらなかった…。
私は、あんな奇跡を、君とともにまだまだ見たい。ここはまだ……旅の途中にすぎないんだ。さあ、乗り越えて次へ進もう。
いつもの君らしく…私を引っ張ってきてくれた、君らしく。
私も、未熟ながら、精一杯に力を貸すよ。
アリゼー
…ねえ、こっちで再会したあと、モルド・スークの塔の上で、話をしたのを覚えてる?
私の覚悟は、あのときから変わってないわ。
もう二度と置いていかないように……置いていかれないように、どんな道でも、全力で走り切ってみせる。
進んだ先に希望があるんだって、あなたが、夜を取り戻しながら教えてくれたしね。
それなら、次の一歩の先には、あなたを救う方法もあるかもしれない。
だから私は……痛くたって、怖くたって、進むわ。
ウリエンジェ
…エメトセルクを完全に止めるならば、彼の魂を拘束し、大きな力で打ち砕かねばなりません。
拘束のための「白聖石」は、用意ができております。それは私の務めであり……水晶公から依頼されたことでもありました。
彼がいた第八霊災後の未来は、言い換えれば、アシエンの姦計に陥った世界ですので…。今度こそ屈するものかという思いも、あったのでしょう。
つまり、エメトセルクを打ち倒すことは、かの未来の者にも報いる行為となる…。
それでも、この先、御身が危うくなったら思い出してください。
英雄に生きてほしい…それこそが彼の、彼らの、原動力であったということを。
そして、私がそこに加担したのも…同じ想いが、あったからだと…。
ヤ・シュトラ
思えば、原初世界にいたときですら大変だったのに、第一世界に来てからはなおさら、苦難の連続だったわね…。
それでも私は、あの深い森で…あなたたちとの旅でも、まっすぐに信念を貫かせてもらった…。
だから、あなただって、望むがままに進めばいい。
後悔だけはしないようにしましょう。
…私からは、それだけよ。
サンクレッド
まったく、みんなして妙な重みをかけてくもんだ…。まだ、これで終わりと決まったわけでもないだろうに。
…だが、ときには、はっきり伝えておくべきこともあると、アム・アレーンで、お前が教えてくれたな。
だったら……俺も言っておこう。
ありがとう、クロロ。
この一件に巻き込んでくれたおかげで、俺は今度こそ、彼女のために考え、選ぶことができた。
それが、俺の人生にとって、どれだけ意味のあることか……言い尽くせないほどに、感謝している。
だから、お前が行くというならば、俺もそこに命をかけよう。
…たまには、背中のひとつも、預けてくれ。
「…力を託してくれるとき、ミンフィリアは言いました。
どれほどの力を手に入れたとしても、
絶望は立ちふさがり、無力に苛まれるだろう…と」
「本当に、そのとおりです…」というリーン。グルグ火山で私から溢れる光をなだめながら、ずっと震えていたと、間違えたら私が死んでしまうかもしれない…「それが怖くて…とても、怖くて…」と自身の心情を吐露する。
私やサンクレッド、みんなに支えられ、ミンフィリアに尊い命をもらった…。
「だから、今度こそ…!
支える側になりたい、救えるようになりたいのに…っ!
どうしても…私は、足りない…っ…。
ミンフィリアに言ったのに…
英雄の背中を追いかけるんだって…なのに…こんな…」
「だったら、下を向いてはいけない」
「どうして?」と問う彼女に…
「この世界のため、前を向き続けた英雄がいたから」と答える。
「それが誰を指し、何を意味するのか」は、自分で歩き探していくと言葉するリーン。そして、「嘆いているだけでは、いつまでも答えに辿りつけない」と共に行くことを宣言する。
議事堂内へ突入する私たち…その前方からは…
「困りますねぇ、見学者様。
厳粛な場だ、規約は守っていただかないと」
エメトセルクが現れる。
そして、アシエンの目的…願いを告げる。
「すべての世界を統合することで、
力を取り戻したゾディアークが、封印を破って復活する。
私たちは、統合された原初世界の命を贄として差し出し…
引き換えに、かつてゾディアークに身を捧げた同胞たちを、
取り戻すのだ」
「それで…?
お前は、いったい何をしに来た?」
「水晶公は、返してもらう…!」
私の言葉にあっさりと「厭だね…」と返し、水晶公の知識、そして世界と時間の跳躍…その力を世界統合のため、アシエンの新たな力として使うと語る。
そして、エメトセルクは私の顔を、表情を見てこう続けた…
「やっぱり、ちっともわかっていない。
自分たちが踏みにじられるのは理不尽だと思うか?
古代人のために犠牲にされるのは、不当だと?」
「私を見ろ…!
ほかの誰よりも長く、お前たちに交じって生きてきた!
ともに飯を食らい、戦い、患い、老いもした。
傍らで死を見送り、ときには子を成したことさえある」
「そうして幾度も測り、その度に判じてきたのだ!
お前たちは愚かで、弱く、
この星を護って生きていくには足りないと!」
罪喰いやヴァウスリーとの戦いで散々思い知ったばかりだろうと、「己の無力を…他者の傲慢を…その命の脆さと…ゆえに生まれ続ける悲しみを…!」。「いつまでそんなことをしている、どれだけうんざりさせれば気が済むんだ」と声を荒げるエメトセルク。
「仮に、世界の理が再び綻び、終末の災厄が起きたとして、
今の人類は、半数が進んで自らを犠牲にできるのか?
いいや、できるわけがないッ!
お前たちだって、世界を見てきたなら、
できるだなんて言えないはずだ!」
そんな「なりそこない」には任せておけないと…世界は私たちのものだと背を向け歩き出すエメトセルク。
「待ってくれ!」
去っていくエメトセルクを呼び止めたのはアルフィノだった。
そして続ける…
「エメトセルク…
君と私たちは、本質的に同じものを護ろうとしている。
君は、過去の友と、愛すべき者を。
私たちは、今と未来にいる、友と愛すべき者を。
…そこに、違いなどありはしない。
だからこそ、君にはわかるはずだ」
「私たちは引けないし、引くつもりもない」
私たち全員の想いを代弁するかのように力強く宣言するアルフィノ。
「同じでなど、あるものか。
お前たちのような「なりそこない」より、
生きるべきは、完全なる者だ…。
違うと言うなら、証明してみろ。
お前たちが私たちよりも強く、残るべき存在であると」
少しの間を開け振り返るエメトセルク…蔑むような視線と静かな怒り。
言葉に続いて開いた大扉の先には燃え盛る炎…。
「終末の災厄…
私たちの時代の終わりにして、我が執念のはじまり。
お前たちを測るため、
今ひとたびの、再演といこうじゃないか」
「最奥で待つ」
そう言い残してエメトセルクは炎の中へ消えていった…。
to be continued...
後述
終わりの予定だった5.0ですが、長くなりすぎるのでID直前で一旦切ることに…w
今回は私とアルバートの関係やアシエンの真の目的が判明したり…ラストに向けて一気に物語が加速した感じですね。
個人的に議事堂内でのやり取り中のカメラワークがめっちゃ好きです。
次回こそ本当に5.0を終わらせましょう…。
今回も最後まで読んでいただきましてありがとうございました。
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