シリーズ【建売住宅】新築一戸建て購入時の不動産登記、種類、費用は?自分で出来る?

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新築一戸建てを購入する際の諸経費の中に「登記費用」という項目があります。

登記という言葉は聞いたことがあっても、実際には何をするのか、どんな種類があるのか、いくらかかるのかを解説していきます。

 

登記って何?なぜ必要なの? 

不動産登記(ふどうさんとうき)は、不動産(土地及び建物)の物理的現況と権利関係を公示するために作られた登記簿に登記することをいう。不動産の登記には、表示に関する登記と権利に関する登記とがある。Wikipediaより引用

何となく意味は汲み取れますが分かりにくいですよね。簡単に言うと「この土地、建物は自分のもだ」と公的に認めてもらうために登記が必要になるということです。

 

登記をしないとどうなる?

現実的ではありませんが所有権保存登記(詳細は後述)は任意なのでしなくても法律的に問題はありません。

ですが建物表題登記の様な表示登記”取得してから1ヶ月以内に登記をしないと10万円以下の過料”(罰金)と法律で決まっています。

また、登記をしないと購入した土地、建物が自分のものだと主張できません。最悪の場合、追い出される危険性まであります。

さらに住宅ローンを利用する場合には土地、建物に抵当権という権利を登記しなければいけません。これは住宅ローンが支払えなくなった場合に銀行が住宅ローンの代わりに土地、建物をもらえる権利です。

 

登記について少しわかったところで本題である、新築一戸建てを購入した際に必要な登記の種類を見ていきましょう。

 

1.建物表題登記 

購入した住宅は当然登記されていませんから登記簿上まだ存在しない建物という事になります。分かりやすく言いますと住所がない状態です。

新築した建物の所在地、家屋番号、建物の種類、構造、床面積、所有者を登録するのが建物表題登記になります。

上記でも述べましたがこの建物表題登記は取得してから1ヶ月以内に行わないと10万円以下の過料になりますので注意してください。

 

2.所有権保存登記

所有権保存登記をすることで初めて公的に物件の所有者として認められます。上記で述べましたがこの所有権保存登記は任意になっています。ですが、所有権保存登記をしないと建物の売買も相続も出来ません。また抵当権の設定が出来ないため住宅ローンは借りられません。

 

3.抵当権設定登記

抵当権設定登記は住宅ローンを利用する場合には必須になる登記です。これも上記で述べましたが、万が一住宅ローンの支払いができない状態になった場合に住宅ローンの代わりに土地、建物を銀行、金融機関に引き渡すための登記になります。

住宅ローンを借入る場合、銀行や金融機関に第一位の抵当権を設定する必要があります。

 

4.所有権移転登記

建物と違って土地は建売会社が購入した時点で一度登記されています。この時点での所有権は当然建売会社に所有権がありますのでその所有権を購入者に移す必要があります。それを所有権移転登記といいます。

 

建売住宅の新築一戸建てを購入した際に必要になる登記は主に上記の4つだと考えてください。

 

続いて登記費用について見てみましょう。

 

登記にかかるお金を「登録免許税」と言います。

不動産の場合は価格に税率をかけて税額を求めることが出来ます。

  課税標準 税率 軽減税率
所有権移転登記 固定資産税評価額 2.0% 1.5%
所有権保存登記 固定資産税評価額又は
登記官認定価格
0.4% 0.15%
抵当権設定登記 債権金額 0.4% 0.1%

 

所有権移転登記(土地)と所有権保存登記は課税標準固定資産税評価額となっていますが、この評価額は購入価格とは別ですのでご注意ください。

また所有権移転登記は平成31年3月31日まで、所有権保存登記は平成32年3月31日までは軽減税率が適用されています。消費税増税の関係でこれ以降も軽減税率は延長される方向です。

 

それでは簡単な例を見てみましょう。

仮に固定資産税評価額が700万円だとすると

700万円(課税標準)×1.5%(税率)=105,000円(登録免許税)となります。

 

つまり所有権移転登記に必要になる費用は105,000円という事になります。

 

同様に保存登記を計算すると10,500円(登録免許税)。

 

抵当権設定登記は仮に2,000万円の借入をしたと仮定して

2,000万円(課税標準)×0.1%(税率)=20,000円(登録免許税)

 

すべてを足すと105,000円+10,500円+20,000円=135,500円が登記にかかる費用となります。実際にはプラスαで住民票などいくつかの書類が必要になりますので正確にはもう少しお金がかかります。

なお、建物表題登記には登録免許税がかかりません。

 

したがって自分で登記を行う場合は約15万円前後の費用で済むという事になります。

建売住宅購入による登記関連で司法書士土地家屋調査士に支払う報酬はおおよそ20万円前後が一般的です。登記費用よりも報酬金額のほうが高いのはなんだか納得いきませんが、自分で行えばその20万円はすべて節約できます。

個人ですべての登記を行う事は可能です。分からない点は法務局へ行けば教えてもらえます。ただし、私はあまり現実的ではないと考えています。

所有権移転登記には売主側の登記済証書や印鑑証明が必要とされます。これは購入者(自分)と売主の共同申請となりますが、売主側が認めないと思われます。売主側が提出する書類は非常に大切な書類です。それを素人に預けるような真似はまず考えられません。

建物表示登記には建物図面・各階平面図が必要になります。これは素人が簡単に手を出して作れるものではありません。縮尺、線の細さまで法律で決められていますので現実的に考えて難しいと思います。

 

本来、登記は自分で行うものですが現実的に考えると多くの場合、知識がないため自分で登記をするのは難しいのです。もちろん簡単な登記もあります。所有権保存登記は必要な書類が住民票のみです(減税を受けるには別途証明書が必須)。

また法律的な知識以外でも難しい点がありまして、法務局は平日しか開いていませんから仕事を休む必要があります。もし足りない書類があった場合はまた後日となってしまいます。私はそんなに頻繁に休みを貰えません。

更に建売住宅購入と考えると時間が圧倒的に足りないという問題もあります。事前に「自分で登記をします」という了解をもらえたとしても、建売住宅購入を決めた後はビックリするくらいのスピードで物事が進みます。相手はプロなので当たり前ですが、こちらは素人。だからと言って手続きを待ってはくれません

何より住宅購入の手続きと並行してすべてをこなすのは肉体的にも精神的にも厳しいものになると思います。

色々なブログを拝見して「自分で出来る」と書かれていますが、本当に知識のない人からすればお手上げ状態になる可能性があります。

 

私は一応大学で法律を学んでいましたが、他のことに頭がいっぱいで「登記を自分で」とは考えられませんでした。

もし、「自分でやろう!」と考えているのであれば、早い段階から準備をしておくことを強くおすすめします。また、購入を決める前に事前に売主の了解を得るようにしてください。

 

今回は不動産登記のお話でした。最後まで読んでいただきましてありがとうございます。