黒き海の底「テンペスト」と向かう私たち…その先で、待ち受けるものは…。
嵐多き海へ
黒き海の底にある「テンペスト」。
目的地は海底…辿りつくことも困難なうえに、たとえ辿りつけたとしても何もできない不自由な状態では意味がない。
ウリエンジェには考えがあるようで「ある妖精」の力を借りると、クリスタリウムの南西「サレン郷」へと向かう。
西に見えるひときわ大きな島…この島に秘密があるようだが…
ウリエンジェは問う、「あなたはこの島を、いかなるものと考えますか?」
「蛮神ビスマルクみたいな…」と答える私に「ご明察です」とウリエンジェ。
この島自体が古き妖精「ビスマルク」。原初世界では雲神として戦ったビスマルクですが、今回は力を借りるために交渉をすることに。
『おぉ……ヒトに呼びかけられたのは、いつぶりか
いかにした、小さき隣人よ』
「我らは、西の海の、底を目指す。
あなたの背中と吐息を借りたい」
『この世は黄昏、没するを待つばかり。
私はただ、眠っていたいのだ』
ウリエンジェの言葉にあまり乗り気ではなさそうなビスマルク。
ビスマルクの協力を得られなければ「テンペスト」へたどり着くのは難しい…どうにかしなければいけないが…こんな時、頼りになるのは…。
「フェオちゃん!」
そう呟くと…
「私の『かわいい若木』ったら、ついに学んだのね!
それに…ええ、ええ!
あなたなら、きっと進むことを選ぶと思っていたわ」
猛スピードで飛んできたフェオは嬉しそうにそう話すと、私たちに協力してくれる。
『お寝坊のビスマルク、古き妖精よ!
これは私の、大事な大事な若木たち
彼らの願いは、妖精王の願いとしなさい』
妖精王たる彼女の言葉に『…美しき我らが王。あなたの願いなら、そのように』と、ビスマルクも協力することを了承してくれる。
「その旅路に、我ら妖精の祝福を。
『輝ける命たち』、きっと無事に戻ってね!」
そう言ってフェオは去っていき、私たちはビスマルクの背に掴まり海底へと向かう。
『さあ、約束は果たされた。
私は湖に戻るとしよう
久々に飛んだが、悪くなかったよ。
お前たちも良い旅を…小さき隣人たち』
私たちを海底へ送り届けたビスマルクは、そう言い残し帰っていた。
海底で待つは
「ビスマルクの吐いた息は
黒風海の底に 巨大な気泡を生み出した
露になった 決戦の地ーーテンペスト
空が再び光に覆われた今も
ここはどこか 薄暗く
いつか「光は厭だ」とぼやいた男が
どこかにいることを予感させた
その終着点に向けて
英雄は今 最後の冒険をはじめるーー」
「テンペスト」へ到着はしたが、この先エメトセルクへ繋がる手掛かりは何ひとつない。ただし、水晶公を連れている以上は、次元の狭間に逃げることは難しいとウリエンジェは考えているようだ。ゆえに、この暗がりの先にエメトセルクは必ずいる…。
まずは大陸斜面を深海へと下りつつ、根城に出来そうな岩場や異変を探してみることにする。
少し進むとオンド族との青年と出会うが、言葉を発することなく立ち去ってしまう。
彼の後を追うように先に進むと…集落らしき場所へと辿りつく。
海底に人間がいることに驚きながらも、「水、吹き飛んだのも、お前たちが…!?」と尋ねるオンド族の青年。
急に騒ぎを起こしたことを謝罪するとともに、事情を説明してしばらくの間協力をしてもらえないかと願い出る。
オンド族の青年は「どうするべきか?」と族長に尋ねる。すると…
「…汝、「いにしえの者」か?
今、神秘、蘇るとき…
我ら、明かりの灯りし地、見たり…
汝ら、導かれしヒトなれば、招き、誘わん。
否なれば、疾く、去れ…」
「それは、どういう意味でしょうか…?」と尋ねるも返事はない…。
言葉の意味は自分たちで考えるしかなさそうなので、場所を変え相談することにする。
私の体の状態を考えれば先を急ぎたいところではあるが、手掛かりのない状態でエメトセルクを探し続けるよりは、テンペストをよく知るオンド族の協力を得た方が効率的だ。
以前アルフィノはユールモア潜入を試みたときに、オンド族との交易によって自身の価値を示そうとした。彼らは寡黙ではあるがきちんと理解し合える相手だと話す。
今回も「きっかけ」さえあれば…
「先を急げばこそ、初心に立ち返らん…」。
急に水が捌けたことによって、オンド族はいくつかの困難を抱えている。それらの解消に手を貸せば敵意がないことは伝わるだろうとウリエンジェは提案する。
それによって協力を得られるか、また情報が得られる確証はないが…ヤ・シュトラは「彼らとアシエン、もしかしたら思った以上の繋がりがあるかもしれないわ」と、少しの間この集落に留まるべきと考えているようだ。
「こんなときこそ「いつもどおり」いこう」
まずは手分けして困っているオンド族の手助けを、その間にヤ・シュトラは彼らとアシエンとの繋がりを調査することにした。
アルフィノに話しかけると、ユールモア潜入の際に取引をしてくれたオンド族、パウスィー・オーンと会話をしているところだった。
結局あの取引は続かなかったが、そのお詫びも兼ねて何か手伝えることはないかと尋ねる。
どうやら水がなくなったことで、普段は泳いで逃げられるモンスターからも逃げることが困難になっているようで困っているらしい。アルフィノに誘われモンスターの数を減らすために討伐へと向かった。
モンスターを倒し戻ってくると「礼は、どうするべきか」と尋ねられる。
これは取引をすっぽかしたお詫びと同時に、水がなくなったこともこちらの都合だと話し、「ただ、この集落について教えてくれないか?」とアルフィノが問う。
元々オンド族の拠点は南の海にあったが、「光の氾濫」によって全滅した。拠点を離れていたオンド族は帰る場所を失い彷徨っていたが、この海の底で不思議な建物を見つけた。
永い間、海中にあった建物は少しも朽ちず、傷もつけられないほどに頑丈。テンペストの激しい激流からも、危険なモンスターからも護ってくれる。
帰る場所を失くした彼らはそれを奇跡と捉え、ここに住みつき、その意味を考えた。この建物を作った「いにしえの者」がオンド族を導いた。建物が朽ちないのは彼らがいずれ戻ってくるからだと、それまでここを護るためにオンド族は導かれたと…。
「だから、水、なくなったこと…お前たち、来たこと…
それもまた「いにしえの者」の導きなら、俺たち、歓迎する」
その話に「私たちが「いにしえの者」に導かれて来たか否か、どうやって判断するつもりなんだい?」疑問を投げかけるアルフィノ。
パウスィー・オーンは「「いにしえの者」、オンドを護り、繁栄もたらす…」と答える。
アルフィノは「進み方は間違っていなかった」と言葉にし、引き続きオンド族のためにできることをすると去っていった。
彼らの都
アシエンとオンド族の関係を調査しているヤ・シュトラに話しかけると「そちらは何か、進展があって?」と尋ねられる。
先ほど聞いた話を彼女に話すと、「この集落を囲む建物について聞いたの…!?」と少し興奮気味。どうやらその情報が欲しかったようだ。
同時に、私にも調査の協力をしてほしいということで彼女に同行する。
ヤ・シュトラに頼まれたことは2つ。
まず「オンドの潮溜まり」を観察し、それを形成する建物の特徴を捉えること。
高くそびえた細長い建物に、多くの窓がついている。
ほかでは見かけない、特徴的な形をした建物。
続いて、「霊銀製のナイフ」で近くにある同様の建物の外壁を剥がしてくること。
外壁に「霊銀製のナイフ」を突き立て、剥がそうとするが…傷をつけることは出来ず、欠片さえも手に入れられなかった。
ヤ・シュトラの元へ戻ると…
「あの建物の特徴については、私も同意見だわ。
双方に視えている形に違いはないということね…。
そして、あなたの力を以てしても、傷つけられない…か」
エーテルを視ることのできるヤ・シュトラの目で視ると、この海底のいたるところに「未知の物質」があるように捉えられるという。私が調べた建物が最たる例で、ありふれた石造りに見えるが、素材となる物質の構造が全然違うと語る。
複数の石の特性を掛け合わせ、類を見ないほど優れた物質にしている…ノルヴラント随一の大国だったロンカ帝国にさえ、これほど「完璧な」物質を生み出した形跡はなかったらしい。
「では、この建物を作った…
オンド族の言うところの「いにしえの者」が、
誰なのかということだけれど…。
私は、エメトセルクがこの地を拠点に選んだことこそが、
その答えになると推測しているのよ。」
単純に私たちが到達しにくい海底を選んだという側面もあるだろうが、それだけだったらほかにも候補はいくらでもある。エメトセルクがアシエンの役割に忠実であればこそ、居つく場所は、彼にとって利の大きな場所…もしくは、何にも勝る思い入れのある場所。
「あの建物は、エメトセルクたち古代人の…?」
「ええ、そのとおり…」
肯定するとともに、ヤ・シュトラは自信の推論を述べる。
彼女はこれらの建物を、14に分かたれる前の世界、先史時代の遺物ではないかと考えているようだ。原初世界においては、度重なる霊災によって消失してしまったそれも、霊災を経験しようのない第一世界でなら遺り得る…。
ここで彼女はある絵を取り出す。
キタンナ神影洞にあった壁画の模写…この壁画を見たエメトセルクは厄災に見舞われる、先史時代の都市だと語っていた…。
簡略化されたものではあるが、私たちが今見ている建物とよく似た特徴を持ているように思えないか?と彼女は話す。
「核心は近いわ」そう言葉にしたヤ・シュトラと共に断定できるほど形を残した遺構がないか周辺を探すことにした。
周辺を探索してみると程なくして、ある建造物が目に止まった。
「ああ…これは…。
間違いないわ、あの壁画に描かれていた…」
壁画の中心に描かれている建造物と酷似しているこの建造物…。
用途は分からないが、象徴的な建物だったのだろう…砂に埋もれている部分まで含めればどれほどの大きさなのか…。
「遠い昔日の上に、私たちの築いてきた歴史が、
澱(おり)のように降り積もって…
だからもう…ほんの数名のアシエンを除いて、
すべての人に、忘れ去られてしまったのだろうけれど…
ここに、あったんだわ…。
彼らの暮らした、彼らの都が…」
オンド族の長、トルスィー・アースは、「神秘の蘇るとき」「明かりの灯りし地を見た」と話した。それが「いにしえの人」と関係していることは察しがつく。
彼らが見たのは「先史時代の遺構に、明かりが灯った」光景…。今、そんなことが出来るのはエメトセルクのみ…彼はその場所に身を潜めていると考えて間違いないようだ。
結局はオンド族の信頼を得て「明かりの灯りし地」について教えてもらうのが一番の近道になりそうだ。
ヤ・シュトラは今の話をみんなに伝えに戻り、私は再びパウスィー・オーンを訪ね、ほかに聞ける話がないか確認することにした。
輝きは不滅なりて
アルフィノたちの手助けのおかげで、私たちに悪意がないことは伝わっているようだ。
同時にまたひとつ困っていることがある様子。
「明かりの灯りし地」に応え、彼らは「主なき遺構」に明かりを入れたいらしい。そのために、海底に住む変わり者のヒトに明かりを頼んだらしいのだが…急に音沙汰がなくなり困っているようだ。
依頼者の名前はグレノルト、南にある「奇人のアトリエ」に住んでいるというので早速「明かり」の回収へと向かうことにした。
アトリエに辿りつくと、上半身裸で正座をしている男が…。
「…ついに幻まで見えるようになったか…」と、ぶつぶつと独り言を話しているが…どうやらスランプに陥っているらしい。
そんな彼に「活を入れる」と…
「…む?
何やら真っ当に励まされている?
もしや貴殿、幻や亡霊ではない…?」
そう言って立ち上がりこちらへと向き直った。
どこかで会ったことがある気もしますが…気のせいでしょう。クリスタリウムに住んでいたようだが、「恐らくは初対面であろう」と彼は話した。
早速、オンド族に依頼された「明かり」の話をするが…
「うわああああああぁぁぁ!
まだ何も浮かんでなぁぁぁいッ!」
頭を抱え、地面に崩れ落ちるグレノルト…。
信仰厚いオンド族にとって、遺跡に明かりを灯すことはとても重要なこと…それに見合う最適な「明かり」が思い浮かばないようだ。
「はぁ…貴殿は何か、
吾に閃きを与えるような品を持ってはおらぬか?
例えるならば、そう、命の輝きを結晶にしたクリスタル…
だが、輝かしいばかりではなく、悲喜こもごもの、
動乱の歴史を歩んできたかのような…そんな感じの…何か!」
かなり具体的に指定されてる気もしますが。
サボっていた「ロールクエスト」を終わらせ、再び彼の元を訪れると…。
「そ、そ、そ、それは…そのクリスタルは…ッ!
美しさのみならず、悲哀や無常の理までも伝わってくる…
まさに、そう、激動の歴史を体現していると言っても、
過言ではない逸品…!」
私が手に入れてきたのは「魔人」と呼ばれ恐れられた大魔導士にして、アルバートと共に戦った「光の戦士」ナイルベルトの光のクリスタル。
クリスタルを見たグレノルトは「製作意欲が、閃きが、とめどなく溢れてくる!」、「しばし、そこで待たれよ!」と言葉にし、「明かり」作りに没頭し始めた。
しばらくして…
「…完成だ」
そう呟いた彼の横には
完成した「オンド族の灯す明かり」が。
「我ながら会心の出来」と言葉にするグレノルト。
どうやら彼が行き詰った理由は、「いにしえの者」が造った遺構の数々が自身では遥かに及ばない境地にあったかららしい。
それらに魅せられ、今の場所に居を構えたが、いざ添える道具を作るに至って尻込みしてしまったようだ。
その気持ちを変化させたのが私が持ってきた「クリスタル」。「恐らく、多くの想いを連れた旅をしてきた代物なのだろうよ」と語るグレノルト。
そのクリスタルから感じ取れる物語を、私の装備として仕立ててくれた。
明かりの灯りし地
出来上がった「明かり」を、早速トルスィー・アースの元へと届ける。
アルフィノたちの尽力に加え、遅れていた明かりを持ってきたことで、私たちを敵としてではなく「然るべくして導かれたヒト」だと告げるトルスィー・アース。
遺構に「明かり」を捧げたのちに、「明かりの灯りし地」を教えてくれるようだ。
遺構に「明かり」を灯し祈祷を行うオンド族。
その様子を離れた場所から見守る私。
「さっきの職人に見せてた、抜け殻みたいなクリスタル…。
あれは、もしかして…
俺たちの「光のクリスタル」じゃないか…?」
「肝心なところを見てないとは…」、そう言葉を返す私に「俺だって多少は遠慮して…」というアルバート。
ナイルベルトの光のクリスタルを手に入れた経緯を、彼が誰にも打ち明けなかった想いをアルバートに告げる。
「そうか…ナイルベルトが…。
…今になって、そんな本音が聞けるとはな
あいつらときたら、本当に、最期まで…」
「死んだ後に、こんなに多くのことを知るなんて思わなかった。
お前のことも…セトのことも…
俺たちの世界が、どれほどしぶとくて、希望にあふれてたかも」
「いつかあいつらと、また巡り会うことができたとしたら…
話の上手くない俺だが、どうにか伝えてやりたいと思うよ。
…ありがとな。
お前を必ず、この旅の終わりまでつれていく」
そう言葉を残しアルバートは去っていった。
「すまない、集まるのが遅くなった」
少し遅れて合流したアルフィノたち。その視線の先には…
エメトセルクや他のアシエンたち…彼らの時代の建物。
世界統合を成しても、いなくなった人を取り戻せるわけではない。それでも彼らにとって、どれほどの時を経たとしても取り戻したい、大事な世界…。
「 そうね……私だったら、どうしたかな…」そう小さく呟くアリゼー。続く言葉は誰からもなく、リーンの私の体を気遣う言葉で会話は終わった。
祈祷を終えたオンド族は約束通り、「明かりの灯りし地」について話してくれた。
現在地より西に広がる、大海溝。「常は漆黒の、その裂け目に、先日、明かりが灯った」とトルスィー・アースは語る。
オンド族がすぐに確認に向かうと、そこには大きな街があったらしい。その街はオンド族が住処としている建物と酷似していた。
「その場所には、今でも行くことが可能なのですか?」と尋ねるアルフィノ。
トルスィー・アースは「水なき、今、ヒレ持たぬ汝らでも、到達できよう」と答え、私たちを「導きのヒト」と信じ、案内を出してくれた。
彼らの住処である「オンドの潮溜まり」を下ると、その先には洞窟となっていた。案内役はその洞窟を壁沿いに下へ進み、底に着いたら北西にある道に沿ってひたすら西へ進むと、「キャリバンの古巣穴」という場所に彼らが張った結界があるらしい。
岩場やサンゴ礁を足場にしながら歩みを進めていくと…
結界らしきものが確認できる。この場所が「キャリバンの古巣穴」だろう。
「手をかざせば解けるようにしてある」という言葉通り…
あっさりと結界は消失した。
今まで以上の悪路を進み続けると…それは突然姿を現した…
「うそ…何よこれ…!」
驚き、圧倒されながらも歩みを進める…
「…そう、あなたたちにも見えているのね。
オンドの潮溜まりにあった建物は、実在する遺構だった。
けれど、この街は、わけが違う…」
「いわば、大規模な魔法なのよ。
海溝の上に築かれた、幻影都市だわ…!」
エメトセルクは遺構を利用したわけではなく、その上に「在りし日の街」を魔法で再現した。「まったく、呆れるほどの魔力だこと…!」と語るヤ・シュトラ。
魔力もそうだが…彼がこの街に、彼らが生きた世界にどれだけ強い想いを持っているのかが…そして、必ず復活させるという強い想いを窺い知れる…。
それでも止まるわけにはいかない。
この先にはエメトセルクが…そして、命を賭して私を、世界を救おうとしたグ・ラハ・ティアが待っている。
to be continued...
後述
遂にここまで来ました…かなり時間がかかってしまいましたが、次回で「5.0」は終了予定…もう、「5.2」が来てしまいそうですが…。
エメトセルク、グ・ラハ・ティア、アルバート。
漆黒のヴィランズ最重要の3人が辿る運命は…そして私の体はどうなるのか…。
今回も最後まで読んでいただきましてありがとうございました。
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