話題沸騰 「パラサイト 半地下の家族」を見てみた

カンヌ国際映画祭における最高賞「パルム・ドール」受賞に引き続き、先日行われたアカデミー賞では、アジア初の作品賞を含む4部門での受賞という快挙を成し遂げた「パラサイト 半地下の家族」。

今回は感想という程のものでもないですが、記事にでもしてみようかと思います。

ちなみにあらすじは書きますが、ネタバレはしません。

 

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引用:映画『パラサイト 半地下の家族』オフィシャルサイト

あらすじ

全員失業中。日の光も、電波も弱い“半地下住宅”で暮らす貧しいキム一家。大学受験に失敗し続けている長男ギウは、ある理由からエリート大学生の友達に家庭教師の仕事を紹介される。身分を偽り訪れた先は、IT企業を経営するパク社長一家が暮らす“高台の大豪邸”。思いもよらぬ高給の“就職先”を見つけたギウは、続けて美術家庭教師として妹ギジョンを紹介する。徐々に“パラサイト”していくキム一家。しかし、彼らが辿り着く先には、誰にも想像し得ない衝撃の光景が待ち構えていた―。

引用:映画『パラサイト 半地下の家族』オフィシャルサイト

 

「パラサイト」という作品名の通り、裕福な家族に寄生して生きていく家族のお話。

前半はコメディタッチな軽いノリで小気味よく展開していきます。まぁ、笑えるか笑えないかは感性の違いでしょうか?外国の作品ですから笑いのツボも当然違います。私は特に笑うほど面白い場面はなかったと思うのですが、隣に座ったご婦人は笑いをこらえていましたし。

物語も中盤に差し掛かり、ある場面でこの空気は一変します。「おっ?」と明確に変化を感じることが出来るレベルでサスペンス調に様変わりします。

ここから先は衝撃の展開…そしてラストは…と、この先はご自分の目でお確かめください。

 

半地下と韓国経済

私たち日本人には馴染みのない「半地下」という言葉。フィクションではなく、現実に韓国の、特に20代~30代の人が「半地下住宅」に住んでいるケースが多いようです。

 

では、「半地下」はなぜ生まれたのか?

元々は朝鮮人民軍のゲリラ部隊が韓国大統領暗殺を狙い青瓦台、大統領官邸を襲撃しようとしたこと、さらに北朝鮮工作員によるテロが相次ぎ、事態の悪化を恐れた韓国政府が1970年、建築基準法を改定。この建築基準法で国家非常事態に備え、新築の低層住宅には、防空壕として地下室の設置を義務づけたことが始まりのようです。

当初は賃貸が禁止されていた「半地下」ですが、1980年代、首都の住宅不足が深刻化したことで、住宅使用を合法化せざるを得なかったようですね。

 

映画を見ればわかりますが「半地下」の生活環境は劣悪です。実際はあそこまでひどくはないのかもしれませんが、住み心地がいいとは決して言えないでしょう。

どうして「半地下」に住むのかといえば、普通のアパートは家賃が高くて住めないからでしょうし、加えて低迷を続ける韓国経済と的外れな経済政策。さらに、急速に進めた「働き方改革」の影響も大きいのかもしれません。

韓国における2018年の失業率は3.8%と突出したものではありませんが、青年失業率(15~29歳)では9.5%、フリーターや就職浪人を含めると20%を超えると言われています。

詳しく知る必要はないでしょうが、ザックリと今の韓国経済がどんな状況に置かれているのかを知っていると物語にも入りやすいかも?

 

ちなみにこの知識は、新聞やTV情報なので100%正しいものではありません!

 

結局面白かった?

実は韓国映画を見るのは初めて(たぶん)?だったのですが、面白かったです。ネタバレなしなので、”何処がどう”とはハッキリ言えませんが…。

社会問題を扱ったと言えるほど踏み込んだ話ではありませんが、格差社会や韓国社会という構図を用いながらも、現実社会と同様に”上の者を妬むのではなく、下の者を蔑む”といった感覚。

そして、後半の展開からラストにかけて…モヤモヤする。このモヤモヤが大事で嫌悪感だったり、不快感だったり、後味の悪さ、そんな気持ちを残したまま映画は終わります。

個人的にすっきり終わるお話よりも、モヤモヤしたり、若干バッドエンドなものが好きなので…。

そこらへんも評価の分かれ目になるんでしょうかね?まぁ、そういうのは個人の好き好きですから、その人が面白いと思えばそれでいいのです。

 

後述

感想書いたのに、後述いる?と思いましたが…おそらく次回鑑賞するであろう作品が決まったのでご紹介。

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東日本大震災後の原発事故の最前線を扱った映画「Fukushima50」。

今回鑑賞した「パラサイト 半地下の家族」上映前のCM枠でも流れていました。

ニュースや特集でも、現場と本店とのやり取りが流れる場面がありまし、恐らく他の地域に住まわれている方よりも、私はそういったことを目にする機会も、興味もあります。自分が生まれ育った県のお話ですしね。

門田隆将さんのノンフィクション「死の淵を見た男 吉田昌郎福島第一原発」の実写映画化ということで、”エンターテイメントとしての映画”ではなく、”真実”に近いお話を期待しています。

吉田所長役・渡辺謙さんの「だったら1回現場来いよ」が耳から離れません…。

 

今回も最後まで読んでいただきましてありがとうございました。