『帰還困難区域』初の解除

3月4日午前0時、震災・原発事故から約9年、全町避難を続けていた双葉町の避難指示が一部で解除されました。解除と言っても、駅周辺や線路、道路などで、住民の帰還が伴う避難指示解除ではありません。

 

今回解除されたのは”帰還困難区域”のJR常磐線双葉駅と駅前、”避難指示解除準備区域”の町北東部で町の面積のおおよそ4%程度だそうです。

 

「帰還困難区域」

あまり聞きなれない言葉かと思います。

原発事故の影響で、”年間積算量が50ミリシーベルトを超えて、5年間たっても年間積算線量が20ミリシーベルトを下回らないおそれがある区域”の事をさします。

 

震災・原発事故から9年経っても、1週間のうちにそういったニュースを一度も聞かないということがない状況の福島県。そういったニュースが”当たり前”になりすぎて、天気予報と同時に流される”空間放射線量測定結果”にも違和感を感じなくなってしまっている。少しマヒしているのかな?とも思います。

〇〇で解除と言われても「そうなんだぁ」位にしか感じなくなってきたこの頃。廃炉作業も思うように進まず、私が生きている間に終わるのかもわかりません。

 

さて、今回の解除は2年後の住民帰還を目指して、双葉駅西側に災害公営住宅であったり商業施設の整備、インフラ整備を行うための解除です。

また、避難指示解除準備区域となっている町北東部には「働く拠点」として17社の進出も決まっていますので、そちらの整備のためでもあるのでしょう。

3月14日にはJR常磐線も全線再開され、常磐道常磐双葉ICも使用が可能になる。復興に向けてヒトや物の流れも活発化するでしょうし、居住は出来ないにしろ一時帰宅する住民にとっては、そしてあの街で生まれ育った人には、今回の解除は”待ちに待った”ものなのかもしれません。

 

故郷を追われ9年。

町に戻る住民がどれ程いるのかはわかりませんが、私なら戻ることは考えないでしょう。9年という歳月はあまりにも長すぎる。

仮に戻ったとしても、すべての避難が解除されるのは一体いつになるのか…。

 

1月の施政方針演説で安倍総理は、

力強く復興しつつある被災地の姿をその目で見て、実感していただきたい。まさに『復興五輪』であります」と述べていました。であれば、未だ手つかずで、この先何十年もかけて解決していかなければいけない”原発事故”の現状も世界にしっかりと見てもらう必要があると思うのです。

私は五輪開催に賛成でも反対でもない、正直なところ「どうでもいい」と思っていますが、綺麗なところだけを切り取って国際社会にアピールすのは止めてもらいたいと思っています。

 

新型コロナウィルス関連のニュースに隠れて、あまり話題にならなかった今回の避難指示解除でしたが、”こんなことがあったよ”的な感じで記事にしてみました。

 

今回も最後まで読んでいただきましてありがとうございました。