ss付きで振り返る FF14 漆黒のヴィランズpart30

今まで語られなかった調停者エリディブスの正体が遂に……!そして再び登場のヒュトロダエウス。ここから少しずつ盛り上がって……いくはず!

 

 

色あせた記憶

ヤ・シュトラとの合流を果たすため、アニドラスを訪れた私の目に飛び込んできたのは、倒れ込むヤ・シュトラの姿だった。

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急いで駆け寄ろうとするも、その間に割って入る者が現れた。

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突如現れたエリディブスは「邪魔の入らない場所で会いたかった」という。ヤ・シュトラが倒れているのは、彼が何かをしたというわけではなく、魂と肉体の結びつきが揺らいだ影響のようだ。

 

「こんな場所で、何を調べていたかは知らないが……

 君たちが我々の時代を知ろうとすること自体、無意味な行為だ」

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エリディブスが言葉を発した直後、再び過去視が発動した。

 

「おや、また弁論の記録を見直していたのか?

 本当にお前は心配性……

 いや、その座に誇りを持っているのだな、エリディブス」

 

「調停者にしては優しすぎるんじゃないかって、

 誰かさんが心配していたけれど……ふふ、杞憂だったわね」

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「消える 消えていく

 今の世界に 私は不要だとでも言うのか」

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「いいや まだ――私はエリディブスだ

 役目を果たさなければならない」

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「なりそこないたちの英雄

 それでも 世界を救わんと願う者だ」

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「――ならば」

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「ああ――願いが集う――力が満ちる――

 これで役目を――役目を――」

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「――しかし

 私はなぜ なんのために それを果たしたかったのだろうか」

 

過去視から意識が戻ると、「彼女はしばし預かる」とヤ・シュトラを何処かへと飛ばしてしまった。

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そして……

 

「返還の条件は簡単だ。

 君の、今の実力を見せてくれ。

 私もそれなりに力を蓄えられたが、

 現状で君を倒し得るのか、測る必要がある」

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そのための場所を準備しているというエリディブスは、「エーテルの流れに乗って来い」と言い残し消えていった。

 

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飛ばされた場所は、エメトセルクが創り上げた幻影の都。

再び現れたエリディブスは「用意した敵を倒し、カピトル議事堂を目指せ」と告げた。

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「お前にはうんざりだ」

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私の返した言葉に不快感を露わにするエリディブス。

 

「私たちは……なりそこないの人と、アシエンは……

 最初から今まで、理想を異にする敵同士。

 向かい合えば、刺し合うだけの間柄だ」

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「それとも……

 理解を示したフリをして、仮初めの同情を抱くことで、

 己のしたことを肯定したいのか?

 私たちの英雄を屠り……私たちの未来を踏みにじり……

 この場所を、永遠に戻らない藻屑にしようとしていることを」

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「だったら、この課題も趣向を変えるとしよう。

 ……お前の奪ったものを、思い知れ」

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エリディブスの力によってカウンターにいた古代人たちは、かつて私が関わってきた人物に姿を変えられた。


「理解など要るものか。

 ……私はお前を、赦さない」

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そう言葉にして建物を出ていくエリディブスの後を追う。

 

外へ出ると「最初の相手は、簡単な方がいいだろう」と言葉にして、先程の古代人の様に魔物の姿を変える。サックレッドたち賢人に姿を変えた魔物は、私に襲い掛かってきた。

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エリディブスはそうやって議事堂までの道中、私の力を測りながら私に関わってきた人物と戦わせるつもりのようだ。

その後もトールダンやアイメリク……ヒエンやユウギリ。味方関係なく、これまでに関わってきた人物たちと戦い続け……

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議事堂前でゼノスを倒すと「次の段階へ移る」と言い残し、議事堂へと入っていった。私も後に続き、議事堂内へ向かう。

 

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エリディブスは、「それなりに力を引き出せた」と言いながらも、エメトセルクを倒した私の力がこの程度であるとは考えていないようだ。
 

「次は直接、君の実力を試させてもらうとしよう。

 この身に刻まれし力を以て……。

 さあ来い……

 お前の相手は、この俺だッ!」

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「戦いの記憶も、血のにじむような鍛錬も、すべてこの身に刻まれている」という言葉通り、アルバートのものをはじめ、多様な技を繰り出し襲い掛かって来るエリディブス。

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その攻撃を凌ぎ、何とか彼に膝をつかせる。

 

「……なるほど。

 ゼノスの身体で戦ったときと比べても、腕を上げている。

 この世界での冒険の成果、といったところか」

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立ち上がるエリディブスは、息を切らしながらそう言葉にした。

そこへ聞き覚えのある声が後方から飛んできた。

 

「そこまでよ。

 趣味の悪いイタズラは、やめてもらおうかしら」

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「少し話につきあってもらえるかしら?」とヤ・シュトラはそのまま言葉を続ける。

 

「あなたが何者で、今この世界で何をしようとしているのか……

 なかなか面白い推論を立てたのよ」

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「エリディブス、あなたは……

 あなた自身が、蛮神なのでしょう?」

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ヤ・シュトラの言葉に、エリディブスは無言のまま何も答えない。

 

古代人は終末の災厄を収束させるために、ゾディアークを創造した。その創造魔法は、いわば蛮神召喚の根源となる術でもある。

それを想像や願いから何かを作り出すものと考えれば、ゾディアークに込められた願いは……。

 

「答えは、アニドラスの記録の中に遺されていたわ。

 ……私だって、終末を前にしたら、こう願うでしょうね。

 「世界を救いたい」と……」

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ヤ・シュトラが見つけた記録は、エリディブスがゾディアーク召喚の核として身を捧げたというものだった。

どんな理由でゾディアーク本体と分離したかは分からないが、彼がゾディアークの欠片で、同じ性質を持つのであれば、「世界を救いたい」という願いが満ちるほど、強くなる。

エリディブスがアルバートという象徴を使ってまで、「光の戦士」を目指せ、と人々を焚きつけたのは、そのためだった。 

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無言で聞いていたエリディブスは「そうだ」と、「だからこそ英雄を利用してきた」とヤ・シュトラの言葉を認めた。

 

あるときは手を取り導き、あるときは敵対者になり成長を促し、さらには本人に「なって」世界を先導した。

それは自身が力を得る手段であると同時に、同胞のアシエンたちが暗躍する舞台づくりとしても役に立った。エメトセルクが成した、ガレマール帝国もそのひとつ……。

 

「そう……あなたもまた、

 歴史の只中で思い知ってきたのでしょうね。

 人の不確かさを……想いは変わり、記憶は欠け、

 記憶はねじ曲がっていくものだということを……。

 だから託す道はないと、私たちを拒んだ」

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エメトセルクも私たちを測っていた。

「ともに飯を食らい、戦い、患い、老いもした。傍らで死を見送り、ときには子を成したことさえある」そう話していた。その上で、「そうして幾度も測り、その度に判じてきたのだ! お前たちは愚かで、弱く、この星を護って生きていくには足りないと!」、そう結論を出した。

エリディブスもまた、同じなのだろうか?

 

「けれど……そういうあなた自身は完璧なの?

 大事なものを、きちんと覚えていて?」

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ヤ・シュトラが続けた言葉に、「何が言いたい」と怒りに表情を変える。

 

蛮神は注がれる願いによって、性質を変える。

ヤ・シュトラは私たちが抱く「世界を救う」という一念でさえ、古代人が生きた時代とは違い、バラバラで複雑だという。そんな願いを糧として、「本当に「あなた」でいられているのかしら?」と疑問を投げかけた。

 

「私に、それを問う必要などない」

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変質し、何が欠けようと、自分の座を役目を覚えているというエリディブス。十四人委員会を、ときに助け、ときに正し、星と人のために計画を遂行する。

 

「エリディブス……

 その名こそが私のすべて、その名だけが私のしるべだ」

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話は終わりだ、と踵を返すエリディブス。だが、去り際、彼は不穏な言葉を口にした。

 

「……闇の戦士殿とそこそこ渡り合える力を得られているなら、

 大抵の「なりそこない」は、仕留められると思わないか?」

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エリディブスが去った後、ヤ・シュトラに状況を説明する。

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エリディブスの言葉も気になる。

取りあえずは地上へ出て、ユールモアを目指すことになったが、突然のことでアニドラスに荷物を置いたままのヤ・シュトラはそれを取りに戻った。

 

黄道航行

ヤ・シュトラを待つことにした私は、議事堂内でクリスタルを見つける。

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拾い上げると、古代人に似た声が頭の中に響く。

気になった私はヤ・シュトラを待つ間、他にもクリスタルがないか探してみることにした。

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議事堂内、そして外へ出てクリスタルを探す。

12個目、深緋のクリスタルを拾い上げると……

 

「……週末は過ぎ去った。

 新たなる星の意志に、再生の祈りを捧げよう。

 愛しき人よ……優しき友よ……

 いつかまた、命咲く美しき世界で会おう……」

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それぞれのクリスタルの声を聞く限り、終末が去り、ハイデリンとゾディアークが争う前の記憶であることが窺えるものだった。そして、13個目クリスタル……

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「分かたれた命が 蠢いている

 あの輝きに満ちた世界は どこに消えた――?

 こんな結末が 星を愛し そのために生きた我らの終着点か

 いや――終わりになどするものか――」

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この言葉は……

 

「やあやあ、また会えたね……懐かしく、新しいキミ」

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突然現れたのはヒュトロダエウスだった。

「やっぱりキミは、星を集めてくれたね」と嬉しそうに話す。確かに集めたクリスタルには星のような並びが刻まれている。

 

「天に輝くそれらは、無限の巡りの象徴にして、

 地上に生きる命の指針……

 つまりは、十四人委員会を示す印なのさ」

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ヒュトロダエウスによれば、中に封じられているのは彼らに関する情報、つまりオリジナルたちが有していた委員たちの記憶だという。 持ち主だったエメトセルクはもう使えないことから「キミにあげるよ」という。

 

「……で、最近はどうだい?

 どうせ、エリディブスと喧嘩をしているんだろう?」

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尋ねるヒュトロダエウスに事情を説明する。

彼は「死者たるワタシには不相応」と戦いの展望について論じることはしなかった。だが、個人的には私には生きていて欲しいという。

 

「せっかく「覚えてる」ってエメトセルクと約束したのに、

 すぐにこっちに来てしまっては、台無しだろう?」

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「キミはそんな風に多くを背負い、たくさんの記憶で満たされている」と、ヒュトロダエウスは続ける。

エリディブスのことを、つまらないことにこだわり続ける、ちっぽけで空っぽな存在に思えるかもしれないが、そんな風になってまで立っているのには「何か理由があるはずだ」という。

 

「さて……零れ落ちてはぐれた星も、

 キミならまた繋げられるかな?」

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前にも一度聞いているが、ゾディアーク召喚直前に、十四人委員会を抜けた人物がいた。その第十四の座はずっと空席のままで、離反した者を思い出す必要はなかったため、記憶のクリスタルも存在していなかったようだ。

 

「……はずなんだけど。

 「誰かさん」が、ここにこうして、

 ひっそり封じ込めていたのさ。

 忘れられた、その座の名前と……

 たったひとつ、されどひとつで就いていた人物を物語れる、

 あの人自身が生み出した術を」

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ヒュトロダエウスによれば、第十四の座は変わった役目を持っていたらしい。世界を知り、解決すべき問題があれば、それを拾い集める。

 

「ゆえに彼女は旅をして、実に多くの人と出会った……」

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だが、いざ問題を見つけたとしても、委員会には持ち帰らず、解決できる仲間を喚び寄せて、突撃してしまっていたらしい。

 

「そこに込められているのは、

 そんな「しかるべき星を喚び寄せる」術。

 キミが大きな困難を前にして強く願ったならば、

 きっと答えてくれるだろう」

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「……じゃあ、確かに「返した」からね」

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礼も、苦情も受け付けられないというヒュトロダエウス。

それが自分の意志なのか、再現した「誰かさん」が仕組んでおいた遺志なのか、「さっぱりわからないんだから!」と言い残し、姿を消した。

 

それと同じタイミングで、議事堂にいなかった私を探していたヤ・シュトラが歩み寄ってきた。

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準備ができたヤ・シュトラと共に急ぎ地上へと戻ることにした。

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地上へ戻ったヤ・シュトラはエリディブスとの戦いを避けられそうにないとしつつも、エメトセルクがそうしてくれたように、エリディブスに歩み寄るきっかけを最後まで探してみるべきだという。

たとえ結論が変わらなくとも、欺瞞だと罵られても……「その先でしか見られない結末がある」と私は誰よりも知っているだろうと言葉にした。

その言葉を受け止め、ユールモアへと向かうことにした。

 

後述

エリディブスの正体が明かされた今回、皆さんは予想出来ていたのでしょうか?私は「なるほどなぁ」という感じの感想でした。

それにしても、イベント戦のSS撮り忘れてて何も書けなかった……。

 

ヒュトロダエウスと「誰かさん」のくだりも結構好きなんですよね。らしい、といえばらしいんですが、きっとまだ出番があるはず! 

 

今回も最後まで読んでいただきましてありがとうございました。

 

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